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住宅ローンの支払・滞納

1.はじめに

 住宅を購入された方の多くの方が、住宅ローンを組んでおられることでしょう。 人生の中で一番高価な買い物といえる住宅のローンに関しては、様々な返済タイプがあります。ローンを組む際に、購入される方の収入状況等に応じた 返済タイプが選択されるのでしょう。
 しかし、長引く不況により、国民一般の収入状況は年々悪化しており、近年それは目ざましい状況にあるといえます。加えて、消費者金融やクレジットの利用がかさみ、返済が追いつかない状況に陥るケースも増えております。
 かつて組んだ住宅ローンの支払に支障をきたしている方々も多く、住宅ローン滞納による競売件数は増加傾向にあり、派生問題として住宅競売後の住宅ローン残債務や連帯保証人への請求といった問題が増加しています。

2.支払が厳しいと感じたら

 ボーナスカットやNo残業による収入減により、住宅ローンの支払が厳しい状況にある方、又は、既に数カ月の滞納があり滞納分の返済目処がたっていない方は多くいらっしゃいます。
 更に、サラ金やクレジットの負債が多額になった結果、住宅ローンの支払に支障をきたす方も多いことでしょう。  このような場合、放置をしても解決はしません。  そして、少しでも早くに対策をたてるべきなのです。
 そのための方法は大きく分けて以下のようになるのではないでしょうか。

① 副業や親族の援助により収入を得て不足分の支払に充てる

② 他の金融機関での借換(利率を低くする等)

③ 住宅ローン債権者(銀行等)と交渉する(支払期限猶予等)

④ 個人再生(住宅ローンのほかにサラ金やクレジット等の負債がありこれらの返済が住宅ローンの支払を圧迫している場合に住宅ローン以外の借入を圧縮)

⑤ 破産(将来的に住宅ローンの支払の目処がどうしてもたたない場合に、住宅を失うことは避けがたいものの、住宅ローンを含む全て借金(税金等例外あり)を0にする)

 以上①~⑤以外にも方法はあるかも知れませんし、①~⑤のいずれも選択しがたい事案もあるのですが、基本的には①~⑤で考えればよいと思われます。

 そして、①②③に関しては弁護士に依頼せずに行うことも場合によっては可能でしょうが、法的な処理ではない以上、抜本的な解決にはならない可能性も低くないですし、それが④や⑤を選択すべき事案だったとすると、かえって事案が複雑となり、結果として好ましくない事態を招くこともあります。

 したがって、いずれにせよ、まずは、早期に弁護士に相談し、適切な対策方法を決めることが大切なのです。

3.住宅ローンをかかえる方にとっての個人再生

 住宅ローンをかかえる方にとっての個人再生(住特付個人再生・以下同義)とは、分かりやすく説明すると

① 住宅ローンは従来通り支払う

② 住宅ローン以外の負債(サラ金やクレジット等)を圧縮しこれを3年(最長で5年)で支払っていく

というものです。

 つまり、住宅ローン以外の借金の返済が住宅ローンの支払を圧迫している場合や住宅ローン以外の借金の返済自体が困難な状況の場合に選択すべき方法といえます。

 メリットは、(1)住宅を保持できる(2)住宅ローン以外の借金を大幅にカットできる場合がある(3)住宅ローンに連帯保証人がいる場合にその連帯保証人には迷惑がかからない(4)職業制限がほとんどない等の点が挙げられるでしょう。

 一方、条件・ルールはいくつかあります。

 まず、住宅に住宅ローン以外の借金に関し抵当権が設定されている場合は利用できませんし、オーバーローン(住宅ローンの残額が住宅価値を上回っている状態)ではない場合も個人再生のメリットが減少する場合があります。

 また、ある程度収入が安定している必要もあります(住宅ローン+αを支払っていく収入・世帯収入で可)。

 更に、住宅ローン以外の負債が100万円を下回る場合や、多くの財産をお持ちの方にとっては、上記②の住宅ローン以外の圧縮の点のメリットが減免され、結果、個人再生を選択するメリットがなくなるという場合もあります。

 これらの他にも条件(ルール)はあるのですが、ともあれ、様々なルールがあるということを理解していただければ結構です。

4.住宅ローンをかかえる方にとっての破産

 住宅ローンをかかえる方にとっての破産とは、分かりやすく説明すると

①住宅ローンを含む全ての負債が免責される(例外として税金や養育費、損害賠償責任の一部等は非免責債権として免責されません)

②住宅は競売又は任意売却等により所有権を失う

というものです。

 つまり、個人再生を利用できない又は利用してもメリットがないような場合や、そもそも住宅に執着がなく住宅を失ってもよいとお考えの方の場合(少ないかも知れませんがそのような方もいらっしゃいます)に選択する方法といえます。

 更に、住宅を競売や任意売却等により既に失っている場合に、住宅ローンの残債務が残ってしまっているようなケースでも選択方法のひとつといえるでしょう。

 メリットは、例外である非免責債権以外の借金を無くせるということに尽きます。負債・借金が無くなれば、まさに、返済から解放され、新たに経済的生活を再建するきっかけになるのです。

 しかし、誰しもが利用できるわけではなく、いくつかの条件・ルールがあります。

 代表的な条件といたしましては、免責不許可事由(これがあると破産による免責が認められないという事由のこと)があります。

 例えば、収入に見合わない生活費等以外の支出(ギャンブルや風俗、スナック、ブランド品購入、海外旅行、マルチ商法、投資等)が多額にのぼり、これが原因で支払不能に陥っている場合や、詐術による借入(他人名義での借入れ等)がある場合、過去7年以内に破産・免責をしている場合等は、破産を申し立てても、最終的に免責が認められない可能性があります。

 また、破産を申し立てることで、一部の職業の方は、法律上、職を失う可能性もありますので、破産を選択しがたい場合があります。

 このほかにも破産における条件・ルールは様々ありますが、まずは、様々な条件・ルールがあるということを理解していただければ結構です。

5.まとめ

 以上、大まか且つ簡潔に、住宅ローンの支払が困難な状況にある方に関する対処方法を個人再生・破産を中心に説明いたしましたが、もちろんここで全てを説明することは不可能ですし、事案ごとに千差万別の事情がありますので、詳細は、弁護士への相談の際にご説明することになります。

 ともあれ、少しでも住宅ローンの支払に関しお悩みの方は、すぐにでも弁護士に相談すべきだと思います。

 弊事務所では、借金に関する相談は広く無料で行っておりますので、お気軽にご相談いただければ幸いです。

(※上記各記載内容につきましては、その性質上、個別具体的な事案に該当するとは限りませんので、飽くまで一般論としての参考・弁護士への相談の手掛かりとしていただければと思います)


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